歯周病が肝硬変を悪化させる?

肝硬変患者の腸内細菌叢

中国の浙江(せっこう、ピンイン)大学(Zhejiang University)の研究者は、肝硬変患者の腸内細菌叢には健常人の腸内細菌叢と異なる菌種が存在し、そのうちの54%は口腔内由来の細菌であることを「Nature」で発表した。

(画像はイメージです。病草紙「歯の揺らぐ男」)

腸内細菌叢における菌の同定や菌量に関しては、かつては培養によって行われていた。そのため嫌気性菌(酸素があると繁殖しない)などは菌の同定や菌量の測定が難しかった。

最近、糞便中の遺伝子を検出することによって腸内細菌叢の菌の同定や菌量の測定が簡単にできるようになった。この方法をQuantitative metagenomics(定量的メタゲノム解析)と呼ぶ。

研究結果

98例の肝硬変患者と83例の健常人で腸内細菌叢の特性を検討した。定量的メタゲノム解析によると患者と健常人では75,425遺伝子が異なっていた(偽陽性率<0.0001)。

そして、同起源の菌種であることを示す66の集団に分類することが可能であった。そのうち28が患者で豊富であり、38が健常人で豊富であった。

患者で豊富な菌種のうち54%は分類学的に口腔内由来と同定でき、肝硬変では口腔からの侵襲が想定できた。

また、2型糖尿病や炎症性大腸炎の腸内細菌叢と比較したところ、15の菌の遺伝子がバイオマーカーとして有効であった。

▼外部リンク

Alterations of the human gut microbiome in liver cirrhosis.
Nature513,59–64(04 September 2014)doi:10.1038/nature13568
http://www.nature.com/nature/journal/v513/n7516/pdf/nature13568.pdf