歯の発生と進化
2014年8月7日に発売されたネイチャーのニュースでは歯の発生と進化についての文献が紹介されている。
胎児における発達による変化と進化のは本質的に関連することは周知である。この関連性は分子生物学の進歩により新しい光が当たっている、すなわち遺伝子的な変化が発達過程、すなわち生物の形態と構造に影響を与えることが、進化と関係している。
歯を材料にしてこの進化の過程を模倣した研究が掲載されている。
(画像はニュースより)
研究内容
単に歯の発達を調節している遺伝子とシグナル回路に単純な仕掛けを施すことにより、試験管内でいくつかの異なった歯の構造を再構築した。
中生代に生存していた哺乳類(有袋類、胎生及びその系列)のいくつかの系統では3層からなる臼歯を持っていた。この時代の哺乳類が現在の齧歯類に進化したとの研究がある。
ectodysplasin A (Eda) 遺伝子は、髪の毛から汗腺にわたるまで様々な構造を調節する遺伝子である。胎児の歯ではEda遺伝子が調整しているタンパク質(EDA)が活性化しており、齧歯類の歯が発達している。この遺伝子が働かないと歯は製造に発達しない。
今回の実験では、試験管内でEDAの量を調整しながら歯の再構築を行った。その結果、EDAの量を増やすことにより、歯は現在の齧歯類の臼歯構造に近づいていった。
これは進化の過程を試験管内で模倣したことになる。
▼外部リンク
ネイチャー ニュース
http://www.nature.com/nature/journal/v512/n7512/full