東北大学は6月24日、同大学院歯学研究科の研究グループが細胞移植をしなくても生体本来の再生能力を活性化させて歯周組織を誘導する生体模倣チタンインプラントを開発したと発表した。
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歯科用インプラント治療は、インプラント(人工歯根)を顎骨に埋め込む治療法であるが、天然の歯根周りに存在する歯周組織がない。そのため、上物のクラウンが壊れやすい、成長期の子供など若年層に適応できないなどの臨床的課題があった。
再生医療においては、ヒトの生体組織中に存在する内因性幹細胞による組織の治癒能力を活用して組織再生を導く内因性組織再生が注目されている。
研究グループは、歯科用インプラントに歯根表面の歯周組織再生を担う歯根セメント質を模倣した表面改質を行うことでインプラント周囲に歯周組織を誘導する試みを行った。
チタンインプラントを特定条件のアルカリ溶液へ浸漬することで、ヒト歯根セメント質を模倣したチタンナノ表面を作り、生体模倣ナノ表面チタンインプラントを創り出した。
生体模倣ナノ表面チタンインプラントを抜歯直後の顎骨に埋め込んだところ、チタンインプラント上に正常に機能する歯周組織が再生された。
開発した生体模倣チタンインプラントは、細胞移植をしなくても、埋め込む部位に存在する内因性幹細胞に作用し生体本来の再生能力を活性化させ天然歯周囲と同等の歯周組織を誘導した。
今回の組織再生の方法は、生体の移植を必要とせずヒトの体本来の再生能力を活用しているので、医療機器開発に対する法令上のハードルが低い、侵襲性が低い、費用対効果の高い再生歯科医療を提供できると期待される。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
東北大学のプレスリリース
https://www.tohoku.ac.jp/
別掲
https://www.tohoku.ac.jp/pdf/