国立大学法人東京医科歯科大学と国立大学法人佐賀大学の研究グループは11月17日、歯周病原細菌の感染が骨格筋の代謝異常を引き起こすことを見出したと発表した。
研究成果は、2020年11月16日国際科学誌TheFASEBJournalにオンライン版で発表された。
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歯周病は、糖尿病や肥満等全身疾患の増悪因子であり、糖代謝の重要な臓器である肝臓の脂肪化を増悪させる因子の1つである。全身の糖代謝調節において基幹的役割を担う臓器は骨格筋であり、体重の約40%を占める。
研究グループは、ヒト臍部CT画像上の腰筋群のCT値解析を行い、骨格筋の脂肪化マーカーを算出し、骨格筋組織と歯周病原細菌の血清抗体価との関連を調査した。その結果、脂肪化マーカーと歯周病原細菌Pgの血清抗体価に有意な相関が見られた。
Pg嚥下感染モデルマウスを用いた実験では、Pgの投与により骨格筋の脂肪化が有意に亢進していることがわかった。また、Pgの投与による炎症関連遺伝子群の上昇を認めた。
マウスによる糖の取り込み評価において、2-デオキシグルコース(2DG)を投与したところ、Pg投与群では骨格筋における糖の取り込みが有意に阻害されていることを確認した。また、Pg投与群ではリン酸化の阻害、インスリンシグナルの低下を確認した。
次世代シークエンサーを用いた解析では、Pgの投与はTricibacter属を減少させ細菌叢を変化させていることがわかった。
以上の結果から歯周病原細菌Pgの感染が、骨格筋の代謝異常を引き起こし、メタボリックシンドロームやサルコペニア(筋量低下)へつながる可能性を示した。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
東京医科歯科大学のプレスリリース
http://www.tmd.ac.jp/20201117-1.pdf