東京医科歯科大学は3月20日、同大と京都大学の共同研究グループが、顎の骨の形が噛む力に耐えられるよう最適化される分子メカニズムを解明した、と発表した。
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歯並びや噛みあわせの異常、顎の形や大きさの不調和は、消化不良、顎関節症、睡眠時無呼吸症候群などの原因となる。
これらのいろいろな機能異常を是正するため、歯科矯正治療では、歯の移動や顎の成長の誘導を行う。
しかし、従来噛む力と顎の形との関係性は知られているが、メカニズムが未解明なため、歯科矯正治療に活かすことが難しかった。
研究グループは、硬い餌を与えて咀嚼力を強化する新しいマウスモデルを作成し、噛む力と顎の骨との相関性およびメカニズムを解析した。
硬度の高い餌をマウスに与えたところ、咀嚼回数と咀嚼時間が増加し、咀嚼筋の1つ、咬筋の幅径が増大していた。
コンピューターシミュレーションの解析により、マウスの顎の骨に噛む力が加わることにより、咬筋の腱付着部における骨の突出と下顎枝高の減少、および顎の骨に生じる応力が減少し骨への負担が低下することが予測された。
モデルマウスで実験したところ、シミュレーションと一致した骨の形状変化が観察された。
詳細な解析結果から、骨形成が生じている骨細胞において、IGF-1(インスリン様成長因子-1)の発現が上昇し、スクレロスチン(骨細胞が産生する生理活性物質の1つ)の発現が低下している、ことがわかった。
以上の結果から、強く噛むことにより、顎の骨にある骨細胞が生理活性物質の発現を制御し、噛む力の荷重に耐えられるように顎の骨の形を造り変えるメカニズムが判明した。
この研究成果は、顎の形や大きさの不調和に対する新しい歯科矯正治療法の開発が期待される、とのこと。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
東京医科歯科大学のプレスリリース
http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20190320_1.pdf