3Dプリンタの活用で歯科矯正が大きく変わる可能性がある。アメリカにおける「マウスピース型矯正装置」のパイオニア企業であるアライン・テクノロジー(ティッカーシンボル:ALGN)は1997年の会社創立時から3Dプリンタ技術を活用してきた。
(写真はイメージです)
歯科の矯正は、子どもの時にブレースと呼ばれる歯列矯正用具をつけるが、これは歯の周囲にワイヤーをはめ、締め付ける方法。
この方法は、締め付けるために痛みがあることや食べ物がワイヤーにひっかかりやすいこと、そしてなによりもつけた本人が笑った時などにブレースが露わになり、友人に笑われるなど、子どもにとって物理的にも心理的にも大きい負担がともなうものになっている。
しかも、この矯正はかなり高価となるため、アメリカでは、裕福な家庭の子弟だけがブレースをはめることができる。別の見方をすれば、歯並びが良いか悪いかで、経済的にどんな家庭で育ったかが想像されてしまうということであり、歯科の矯正は、子どもの将来を左右する重要な課題のひとつとなっている。
こうした状況のなか、ブレースをつけることを嫌がる子どもの物理的、心理的な負担感に対して、アライン・テクノロジーは3Dプリンタを導入して透明な歯科矯正装置、インビザラインを開発した。
これは、はじめに歯科医院で精密なデジタル・スキャンをとり、コンピュータ上で歯型の3Dモデルを構築する。
次に3Dプリンタを用い、透明で装着していることが全くわからないアライナー(矯正用のマウスピース)であるインビザラインを製作する。
その上で、矯正の段階でも、さらにアライナーも調節しながらすすめていく。そういう極めてきめ細かい造形を、インビザラインは実現する。
結果として、歯磨きの時はインビザラインを取り外して、洗うことができ、また、友人からも笑われることもなく歯並びを美しくすることができるようになった。
3Dプリンタは一つ一つカスタマイズされた特注品を作る時に最も威力を発揮する。まさに歯科の矯正は一人一人の異なる歯並びや大きさに対応するものが望まれており、今後、大きく普及していく可能性を秘めている。
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Market Hack
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