骨と同じ成分の人工骨が歯のインプラントで製品化

新しい人工骨材料の開発

九州大学の石川 邦夫教授らは、骨の無機成分の成分分析を行い、骨の無機成分は炭酸アパタイトであることを発見した。人工骨を作る上で、粉末状の炭酸アパタイトの製造技術は以前からあった。しかし粉末状の場合、体内に移植した際に炎症を惹起するため、臨床応用ができなかった。

今回教授らは、骨の主成分である炭酸アパタイトを顆粒状にすることに成功し、生体内において骨に置換できることが示された。共同開発者の株式会社ジーシーは、歯科領域では国内初となる歯科用インプラントで使用可能な人工骨として、炭酸アパタイト顆粒製品の承認を得て、実用化したことを発表した。

今後の期待

これまで歯科用インプラント治療において日本で薬事承認された人工骨がなかったため、自家骨を用いざるを得なかった。しかし今後は自家骨採取が不要なため、患者や医療従事者側の負担軽減につながる。

また高齢者など自家骨採取が難しかった患者や、骨が不足していてインプラント治療が受けられなかった患者にも適応が拡大される。さらに歯科分野だけでなく、整形外科分野での人工骨移植にも新展開が期待される。

(画像はphotoACより)

▼外部リンク

株式会社ジーシー・九州大学・日本医療研究開発機構共同発表
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20180215-2/index.html