マウスによる実験で認知機能が低下することが判明
名古屋市立大大学院の道川誠教授（生化学）らの研究チームは日本歯周病学会で、歯周病が認知症の一種であるアルツハイマー病を悪化させることを突きとめ、発表した。
名古屋市立大大学院と、共同で研究した国立長寿医療研究センター（愛知県大府市）、愛知学院大（同県日進市）のチームは、人工的に歯周病菌に感染させたマウスを用いて実験を行った。
歯周病にかかったマウスと正常なマウスに分け、箱に入れて球や三角すいの物体を２つ見せた後、うち１つの物体を置き換えて反応を調べた。正常なマウスは新しく置いた物体へ頻繁に近づくが、歯周病に感染したマウスは反応が変わらなかった。このことは、歯周病のマウスは認知機能が低下し、最初に見た物体の形を忘れているため、新しい物体に興味を示さなかったことになる。
認知症の治療に光明を与えるか
この実験の後にマウスの脳を調べると、歯周病菌に感染してからの約４カ月間で、記憶をつかさどる部分である海馬にアルツハイマー病の原因タンパク質が、歯周病に感染したマウスの方が、面積にして約2.5倍、量で約1.5倍に増加し、沈着していたことが分かった。
研究を行った道川教授によると、歯周病とアルツハイマー病の関係は科学的にまだあまり研究されておらず、「歯周病治療で、認知症の進行を遅らせられる可能性が出てきた」という。この研究からアルツハイマー病、認知症治療に新たな道が開けることを期待したい。
▼外部リンク
名古屋市立大大学院
http://www.nagoya-cu.ac.jp/1001.htm
