歯周病予防の一助になる歯科用素材を開発 ペンシルベニア大

口腔内の健康維持に役立つ歯科素材を開発

米国ペンシルベニア大学の研究者たちは、細菌を殺すだけでなくバイオフィルムの増殖も抑える新しい歯科用材料を開発、その評価を行った。この研究成果は学術誌「ACS Applied Materials and Interfaces」に掲載されている。

周囲組織への毒性が最小限なのに効果的

新たに開発された材料は抗菌剤イミダゾリウムが埋め込まれた樹脂で構成されている。

これまで使用されていた薬物注入材料とは異なり、非侵出性でそれに触れる微生物のみを死滅させるという。

それにより周囲の組織に対する毒性が最小限であるばかりでなく、菌の抗菌耐性の可能性をも減らすことができる。

これまで大量の抗菌剤を必要としていた歯科材料

「歯の治療による窩洞充填などに用いる歯科材料は、まず病原性の微生物を効果的に殺す必要がある」とHwang研究助教授は話す。

そのためこれまで使われていた多くの製品は、その殺菌効果を最大にするために大量の抗菌剤を必要とし、口腔内にある周囲の組織に有害である可能性があった。

素材上に付着するバイオフィルムの抑制効果も

研究者たちは素材の開発にあたり、その殺菌力などを評価した。

その結果、新しい素材は接触した細菌細胞を殺すのに効果的であることが分かった。

さらに従来の素材では蓄積しやすかった粘性のあるバイオフィルムが、新素材上では増殖する能力を著しく乱すことも明らかになった。

しかも水を飲むことと同じくらい力で新素材からバイオフィルムを除去できるという。

研究者は今後、口腔内の健康を維持し回復する新素材を用いた製品の開発とテストの機会が増えることを楽しみにしている。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク

ペンシルベニア大学のプレスリリース
https://news.upenn.edu/

ペンシルベニア大学
https://www.upenn.edu/