歯周病菌が胃の前がん病変に関与
ニューヨーク大学の研究者たちは、歯周病に関連する病原体の増加が、前がん病変発症に寄与する可能性があるという新しい証拠を発見した。
胃がんの新たなリスク要因を発見
学術誌「Journal of Periodontology」の11月号に掲載された研究成果によると、歯肉や口腔内を慢性的に損なう歯周病に関連する病原体の増加が、胃がんに先行する前がん病変の発症に寄与するという。
これまでピロリ菌の定着や喫煙、塩分などの摂取が胃がんの発症に関係していることは分かっていたものの、これらのリスク要因に関係しない多くの新たな症例も診断されていた。
歯周病の予防は胃がんの予防にもつながる
研究者らは歯周病の病原体のコロニー形成と、前がん病変を発症する潜在的リスクである慢性萎縮性胃炎を含む腸の病変との関連性を評価することにした。
評定にあたり対象となる被験者を、胃がんの前がん病変を診断された人とそうでない同年代の人とに分け、唾液と歯垢のサンプルを採取。歯周病態を調査した。
その結果、歯周病菌のコロニー形成と口腔内細菌の多様性の減少は、前がん性胃病変の発症リスク増に大きく寄与すると結論づけた。
この結果についてLi教授は、「今回の研究で、劣悪な口腔環境により胃がんの前がん病変の危険性が高まるという初期の知見が裏付けられた。慢性歯周病の治療と歯周病菌の感染予防は、今後の胃がんの予防戦略に組み込まれるべきである。」と述べている。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
ニューヨーク大学のプレスリリース
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ニューヨーク大学
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