乳幼児の成長に伴う虫歯罹患格差の拡大推移が明らかに

家庭別の乳幼児における虫歯罹患格差の傾向が判明

平成29年5月19日、乳幼児期の虫歯罹患格差に親の教育歴が関連する事が、東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野相田潤准教授の、グループの調査により明らかとなった。

なお、当該研究は同年4月2日のCommunity Dent Oral Epidemiolに掲載された。

成長過程における虫歯罹患率の推移調査の未実施を受け

虫歯は他の歯科疾患と比べ罹患する者が多く、世界的に見ても最多となっている。また、虫歯の罹患に関しては所得や学歴により格差が生じる事が、既存研究にて明らかである。

一方で、子どもの成長における虫歯罹患率の推移とりわけ未就学児の成長過程での罹患率推移は、未報告であった。

そこで今回当該研究チームは、厚生労働省により行われた追跡調査データにより、就学前の子どもにおける虫歯治療の経験について推移を明らかとしたのである。

教育歴の低い家庭の方が乳幼児の虫歯罹患率が増加傾向

結果、虫歯の治療を過去1年間で受けた割合が2歳6ヶ月で1割未満であったのに対し、3年後の5歳6ヶ月時点では3割と、およそ2割増加していた。一方、親の教育歴と虫歯治療経験との関連性については、教育歴の低い家庭では3年間で約3.3割、教育歴の高家庭では約2.6割の増加と、教育歴の高い家庭の方が虫歯治療率拡大が少なかった。

こうした事から乳歯虫歯罹患経験の指標としての虫歯治療経験は、乳幼児の成長において格差が広がり得る事が明らかとなったのである。

しかし、これはあくまでも関連する知識の保有度合いと言うよりも、保有する知識を行動に反映させるための経済及び時間的知識の差といえる。よって、乳幼児検診や学校等での大差が格差縮小に有効なのだ。

(画像は東北大学より)

▼外部リンク

乳幼児の「むし歯の健康格差」は成長とともに拡大
https://www.tohoku.ac.jp/