ハッカ油と止血成分が歯周病治療に有効か

歯根膜の治療にハッカ油とカルバゾクロムが貢献か

平成29年3月2日、歯根膜線維芽細胞の増殖促進にハッカ油が、また歯根膜線維芽細胞におけるコラーゲン産生の促進及びその分解抑制には、カルバゾクロムが確認されたとロート製薬株式会社が発表した。

なお、当該研究結果は「第17回日本抗加齢医学会総会」にて発表される予定だ。

歯周病に対する再生治療商品開発に向けて

現在、日本では成人の5人に4人が歯周病を抱えていると言われている。また歯周病自体、歯根膜に代表される歯周組織の再生機能を低下させ、歯周組織の破壊及びそれらによる歯の脱落を招く。このことから、歯周病治療として再生によるものが望まれているのだ。

こうした中、ロート製薬は皮膚研究の延長線上で再生医療分野への進出を狙い、その研究範囲を歯科分野にも拡張していた。そして今回、その一環として行われた研究において、歯周病治療に有効と思われる事実が確認されたのである。

歯根膜線維芽細胞の生成とコラーゲンの増加を促す

それらは主に2つ挙げられる。

まず1つはハッカ油の歯根膜線維芽細胞増殖促進効果で、これにより歯根膜を構成する各種成分の生成が増強されると言えるのだ。

次に、2つめとして止血のため医薬品として用いられている、カルバゾクロムの「TIMP2」及び歯根膜線維芽細胞におけるコラーゲン生成と、産生の促進である。この「TIMP2」はコラーゲンが分解されるのを抑えるもので、それにより歯根膜の主成分であるコラーゲン量の増強が図れる。

これらのことから、当該研究により判明したハッカ油及びカルバゾクロムの働きが、歯周病再生治療に貢献し得ると言えるのだ。

(画像はロート製薬株式会社より)

▼外部リンク

ハッカ油とカルバゾクロムに『歯周組織再生』の基盤となる作用を発見
http://www.rohto.co.jp/news/release/2017/0302_01/