歯ぎしりを放置しておくと、歯周病が発症・悪化したり、インプラントやかぶせたものが破損する人もいる。歯ぎしりの自覚と早期対応の重要性を、5日付の日本経済新聞(電子版)が伝える。
(スプリントの一例、Wikiメディアより引用)
睡眠時の歯ぎしりには主に2タイプあり、上下の歯をすり合わせて音をたてるタイプと、歯を強くかみしめ音がしないタイプがある。歯ぎしりによる圧力は、日中強くかむ時の十数倍で、1時間に4~5回、一晩で合わせると40分近く発生する例もあるという。
歯ぎしりを放置することにより、圧力で歯がすり減り、歯を支える組織に悪影響が及んで歯周病の発症あるいは悪化につながる。顎関節症や睡眠障害につながる危険性も指摘されている。
原因はまだ明らかになっておらず、遺伝的な要因について研究が行われている。遺伝以外の要因について、昭和大学歯科病院の馬場一美教授は、過度のストレス、飲酒、喫煙、逆流性食道炎、特定の抗うつ剤で引き起こされる場合もあることを指摘する。
日本顎咬合(こうごう)学会の次期理事長、上浜正氏(ウエハマ歯科医院(茨城県土浦市)院長)は、歯ぎしりの最大の問題点として、自覚症状が無い人が多いことを挙げる。自分で気づくためには、次のような症状の有無を確認することも有効である。
(2)詰め物がよく外れる
(3)朝起きると口の周囲がこわばっている
(4)歯がしみる
ただし、歯ぎしりに気づいた場合であっても、「完全に治すのは難しく、症状軽減が治療の目標となる」と馬場教授はいう。
一般的な治療としては、スプリント(透明な樹脂製のマウスピース)を睡眠時に歯にかぶせて、歯ぎしりを抑える。健康保険が適用され、「5000円程度で自分の歯の形状に合わせたスプリントを作ることができる」(上浜院長)。また、自分で、ストレスを減らすように努めることも効果的ということである。
▼外部リンク
日経新聞(電子版)
http://www.nikkei.com/article/