クイニピアック大学による、共同バスルームにおける歯ブラシの汚染調査が、米国微生物学会の年次総会で発表された。
平均9.4人が使用する、共同バスルームの使用者を対象として行われ、収集調査した歯ブラシは、保管方法に関わらず、少なくとも60%が糞便性大腸菌によって汚染されていたという。
共同バスルームというのは、日本でいうところの、風呂とトイレが一緒になった、ユニットバスのことだ。
その、調査対象のユニットバスに、いつも置いている歯ブラシから、糞便性大腸菌(周知の類)が、54.85パーセントと高確率で検出され、しかも同じバスルームを使用している、別の人から来た菌が80%の確率で付着していたのだという。
つまりは、別の人の糞便が、歯ブラシに付着している、ということになる。
歯ブラシを冷水、温水、うがい薬で洗う、などよいと思われる様々な保全習慣によってもその有効性は低く、菌類の検出率に変化はなかった。
多く見つかった菌のうち、シュードモナスは、腸内細菌ファミリーであり、それらは消化管に見られる正常細菌群であることが知られている。
シュードモナス・グループは、一般に、土壌、水、植物および動物に見出されるグラム陰性・好気性の菌群で、ヒトの皮膚、腸の常在菌群の一部であり、多くは塩素などの消毒で減らすことができる。
と、調査したローレン・アベル氏(クイニピアック大学・大学院生)はいう。
つまり、一般的な常在菌であれば、さほどの問題とはならないが、病原菌や寄生虫のケースもありうる状況であり、そこに注意を向けるべき、ということだろう。
では、どう対策すべきだろうか。
保管について、歯ブラシのカバーを使用した場合でも、歯ブラシは湿った状態で、かえって菌が繁殖してしまうことになるため、あまり防護効果は期待できないのだという。
なかなか難しいが、個別のバスルームを使用する、トイレと歯磨きを別の場所で行う(洗面所とトイレを分離する)、別の場所に歯ブラシを保管する、歯ブラシの頻繁な消毒を行う、といったことになるだろう。
バスルーム環境の変更は、なかなか難しいかもしれないが、そうしたウィルス感染の機会を減らす取り組みとして、各自にできる、最大限の対策が望まれる。
▼外部リンク
米国微生物学会
https://www.asm.org/
サイエンスデイリー
http://www.sciencedaily.com/