歯の喪失の原因として、多くの場合、炎症性口腔疾患の病歴を有している。
失われた歯の数を、リスク因子として指標化する可能性を調査する大規模なコホート研究がある。コホート研究とは、リスク因子および健康転帰間の関連確立に向けた、疾患原因調査のための統計調査である。
研究は、健康福祉のための国立研究所(THL)と共同で、ヘルシンキ大学(フィンランド)によって行われた。歯の喪失数から将来の心血管イベント、糖尿病などによる死との関連性を調査し、明らかにしようという試みだ。
主任研究員、ジョン・Liljestrandは、慢性疾患について、個別にリスク因子を評価すれば、欠落歯数が、一般開業医にとっても、有用なさらなる指標であり得るだろう、と示唆している。
基となったデーターベース『The National FINRISK 1997 Study』は、25~85歳の被験者について行った、フィンランド人口ベースの統計調査だ。疾患とリスク因子の関連性調査のための大規模な統計データである。喪失した歯の数は、ベースラインで記録され、付帯的な病気イベントと死についての情報は、13年間の全国的な調査を経て得られた。
分析結果は以下のとおり。
・5以上の歯が欠落すると、冠動脈性心疾患事象および心筋梗塞限り140%にリスク増加
・9以上の歯が欠落すると、心血管疾患(51%)、糖尿病(31%)と死(37%)
・歯がまったくなくなってしまうと、リスクは40から68%
伝統的な危険因子は、統計分析において考慮し、すでに確立されたリスク要因に、不足している歯についての情報を追加すると、さらに死亡リスクの識別を改善したという。
歯周炎は、歯を支える組織における、非常によく知られた慢性炎症性疾患である。未処理のままなら、歯周ポケットを深め、歯はグラグラになり、やがて抜けてしまう。それはまた、中年及び高齢者における、歯の喪失の最も一般的な原因でもある。
一方、心血管疾患や糖尿病などの非感染性疾患も、世界中で最も一般的な死亡原因だ。そしてこれらの疾患は、無関係のように見えて、歯周炎のような、炎症性口腔疾患と深く関連することが、この調査で鮮明になったといえる。
たかが歯周病、と思っていては、大変なことになってしまうかもしれない。
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