オゾンナノバブル水と呼ばれる強力な新しい殺菌法が、歯周炎や重度の歯肉感染症の治療に有効性が高いことがわかった。
オゾンナノバブル水とはNBW3として既に知られているものだ。東京医科歯科大学・荒川真一助教授らの、歯周炎の主要な原因である、二つの菌に関する、抗菌剤の研究で、オゾンナノバブル水の殺菌活性、ヒト口腔組織細胞への無毒性を証明した。
(大腸菌細胞の実験 写真A:細胞膜に突出した小疱発生 写真B:細胞膜硬化)
歯周病の患者4名に、オゾンナノバブル水によるうがいを毎日2回、2週間続ける実験をおこなったところ、歯周ポケット計225箇所のうち139箇所で1ミリ以上の改善が見られた。患者へは、とくにブラッシングなど追加的な指導は行わず、うがいのみの指導で得られた結果だという。
また、オゾンナノバブル水は露出した歯周病原体を30秒で殺菌する一方、生体細胞に24時間作用させる実験で、従来の洗浄やうがいに使用されていた消毒剤に見られる、歯や舌への色素沈着や口腔内の強い刺激、急性のアレルギー反応などの副作用が、一切見られず、人体へ無害であることを証明した。
それらの結果に基づいて、教授らはNBW3が歯を治療するための貴重なツールとなり得ることを結論付けている。
歯周病は、歯を囲んでいる口腔組織の炎症である。「バイオフィルム」または歯垢中に存在する細菌によって引き起こされる。
歯周治療の伝統的な最初のステップは、まず歯垢や歯石を削り取り、機械的に壊死組織切除を行う。その上で、さまざまな消毒剤や抗生物質が、機械的な治療を補完するために使用される。
とくに抗生物質治療は、耐性菌の発生のほかに、宿主にとっての有害リスクなど、いくつかの重大な欠点を有している。それに対して、オゾンナノバブル水は、副作用低減、治療の低コスト化など期待される効果は非常に大きい。
オゾンナノバブル水は口腔組織の細胞、生体適合性が非常に高い。しかし、その効力を確実にするために、製造後の最初の5~10分以内に使用しなければならないというデメリットはあった。
このことに対処するために、共同開発者、高橋正好氏(産業技術総合研究所・主任研究員)らは、オゾンナノバブル水を生成する特許取得済みの手順を開発した。
紫外線への暴露から保護した場合、NBW3は半年以上、その能力を保持することができる。高い安定性を保つことができるため、他の消毒液などと同様、NBW3をボトリング化することも可能だ。
荒川助教授は、オゾンナノバブル水について、バラバラの菌における殺菌力には太鼓判を押したが、バイオフィルム自体を壊す効果はないことを付け加え、このうがいのみで歯周病が治るわけではなく、歯科治療を受けた上で発揮される有効性であることを言い添えている。
▼外部リンク
サイエンスデイリー
http://www.sciencedaily.com/
メディカルエクスプレス
http://medicalxpress.com