2015年3月31日、東北大学病院はがん治療や様々な手術前術後において、口腔内を適切に管理し、治療成績を向上させることを目的として、周術期支援センターを開設し、2015年4月1日に運用を開始することを発表した。
2012年に改訂されたがん対策推進基本計画の中で、副作用・合併症の予防や軽減、患者の生活の質を向上させるためには医科歯科連携による口腔ケアの重要性が強調されている。
東北大学病院では医科と歯科が一つの病院の中で、連携した診療を実践してきた。さらにこの方針を進めるために、周術期支援センターを開設し、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士がチームを構築して診療に当たる。
がん治療においては抗がん剤や放射線療法等で口内炎の副作用の発生率が高い。
口内炎を始めとする口腔内のトラブルは経口摂取を困難になり、食事量の低下を招き、がん治療に必要な体力の低下に結びつく。
また経口摂取ができないことは患者の生活の質に悪影響をもたらす。
従って、がん治療に歯科が介入して、口腔内のトラブルを予防することにより、がん治療成績の向上と症状の緩和が期待できる。
中程度の歯周病は、手のひら程度の傷が開いている状態と同等である。また、口腔内細菌叢には普段は問題を引き起こさないが、手術の傷から体内に侵入して術部に炎症を起こす場合がある。
手術前に口腔ケアをすることは術後の肺炎予防だけでなく、手術部位感染による手術成果の低下を防ぐことができる。
新薬や治療法の開発により、様々な病気の治療成績が向上するに伴い、社会復帰する患者が増加する。
口腔内を良好な状態に保つことにより、治療成績の向上に貢献すると共に患者の生活の質を維持することが可能になる。
周術期支援センターでは、診療だけでなく、地域への情報発信基地として市民に口腔ケアの大切さを伝達するとのこと。地域の歯科医院と連携しながら、入院・外来患者の口腔ケアを進める。
▼外部リンク
東北大学 プレスリリース
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