2015年3月14日、国際およびアメリカ歯科学会は第44回アメリカ歯科学会と第39回カナダ歯科学会の合同学会(米:2015年3月11日~14日)において、髪の毛の障害と虫歯に関係があるという演題が発表されたことを明らかにした。
髪の毛と歯は胎児の時には同じ発達過程で成長する外胚葉性付属物である。しかしながら、髪の毛は主にケラチンからできており、歯は成熟過程で、エナメルタンパク質(アメロゲニン、アメロブラスティン)が分解されて無機質エナメルに置き換わる。
完全に無機化したエナメル質には小さな有機物が存在するが、その働きはよく分かっていない。
研究者はこの髪の毛と歯のエナメル質の関係に目を付けて研究を行った。
ケラチンはdistal-less homeobox 3という転写因子によって制御されている。このdistal-less homeobox 3欠損マウスを作成して、研究を行った。
その結果、distal-less homeobox 3欠損マウスでは、髪の毛のケラチン中に、歯のエナメル質中に見られるような有機物が見られるようになった。
さらに、distal-less homeobox 3の変異を持つ髪の毛の障害を持つ人の歯を検討したところ、虫歯になりすい状態であった。
distal-less homeobox 3が髪の毛と歯が異なる状態になるために働いている可能性がある。
また、distal-less homeobox 3が変異している頭髪障害の人では虫歯のリスクが高くなる。
(画像はイメージです)
▼外部リンク
国際およびアメリカ歯科学会 プレスリリース(EurekAlert!)
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-03/iaa-tlb031215.php