永久歯の埋伏が最も多いのは第三代臼歯であり、それに次いで上顎犬歯と下顎第二大臼歯である。
第三大臼歯の萌出異常(生え方の異常)は、隣の歯である第二大臼歯の歯周病や虫歯のリスクが増加する。
萌出異常は、隣の歯の間に清掃困難な空間を形成して、周りの細菌量を増加させることにより、歯周病や虫歯の原因となると言われている。
第二大臼歯は10~12歳で萌出することから12歳臼歯と呼ばれている。最近では18~19歳でも大二大臼歯の未萌出や半萌出が増えている。
岡山大学は、2,000人を超える横断研究(ある一時期の状況から、仮説を検証する方法)を行い、かみ合わせの異常が12歳臼歯の生え方異常の原因になっている可能性を見いだした。
研究成果は、口腔衛生学会雑誌2015年1月号に掲載された。
研究は18歳あるいは19歳の大学生2205人を対象に、口腔検査で12歳臼歯の生え方、不正咬合、う蝕経験、口腔清掃度、地域歯周疾患指数、プロービング時出血(BOP:歯肉出血)および第二大臼歯萌出状態と質問調査で口腔保健行動および矯正治療経験を調査した。
第二大臼歯が未萌出あるいは、半萌出であったのは258人であった。
その原因をロジステック解析に選って検討した結果、不正咬合(かみ合わせ異常)が有意となった。
下顎右側第二臼歯の半萌出があると、第一大臼歯のBOPの割合が有意に高かった。
不正咬合が有意となったことから、子ども時代のかみ合わせが原因となっている可能性が示唆された。確認のためには、6歳前後の不正咬合がある人とない人を追跡し、12歳臼歯の生え方に差があるかどうかを確認する前向き研究が必要である。
また、萌出異常が隣の歯に影響を与えることが確認された。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
岡山大学 プレスリリース
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id271.html
文献:大学生における第二大臼歯の萌出状態と口腔内の因子との関係
http://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/file/journal/65-1/17.pdf