嚥下障害がある場合には薬剤に含まれる砂糖も虫歯の原因になり得る

アメリカでの研究

アメリカ歯科学会の学会誌(The Journal of the American Dental Association:JADA)に一般的な薬剤にどれぐらい砂糖が含まれているか、齲蝕原性(虫歯の原因になる可能性)、歯科的な懸念に関する文献が発表された。

研究者は、一般的に入手できる薬剤の砂糖含有量だけでなく、製薬会社に問い合わせて、情報を入手している。

薬剤中の砂糖含有量

50種類以上のシロップ型経口薬剤中の砂糖(炭水化物)の量に関しては、食事から取る砂糖に比べると問題になる量では無かった。

しかしながら、高齢者等で嚥下障害がある場合には、砂糖含量を考慮する必要があることが判明した。

嚥下障害を持つ人では、1回薬剤を飲むごとに4gの砂糖(スプーン1杯あるいは5ミリリットル)を摂取することになる。

複数の砂糖を含むシロップ剤を飲んでいる場合には、虫歯のリスクが上昇し、口腔内の健康管理に影響が出る可能性がある。

結論

シロップ剤の砂糖含量を認識し、必要に応じて他の薬剤に変更することは、患者における虫歯の発生のリスクを下げ、患者における安全性を高め、口腔内の健康管理を勧めることになることから、患者の治療を最適化することができる。

砂糖に関して

ショ糖を構成するブドウ糖は脳が唯一消費可能なエネルギー源である。1日に健康な成人の脳は約120~150グラムのブドウ糖を消費するといわれている。

ブドウ糖単独で摂取することはまれで、ほとんど穀類に含まれるデンプンおよびショ糖から体内で酵素分解によって生じたブドウ糖が脳のエネルギー源となっている。

病気により、厳密な糖質制限をしている場合を除き、行き過ぎた砂糖制限は、低血糖を招くなど生命にも関わる。

(画像はアメリカ歯科学会のホームページです)

▼外部リンク

JADA:Sugar content, cariogenicity, and dental concerns with commonly used medications.
http://jada.ada.org/article/S0002-8177(14)00028-2/fulltext

アメリカ歯科学会
http://www.ada.org/en/