インプラント治療における安全確保:高齢者を中心に

インプラント治療の安全性

「インプラント治療における医療安全管理:高齢者に対する薬剤の投与を中心に」という総説がJ-Stageで2014年2月1日から、閲覧できるようになった。

インプラント治療のを受ける際の悩みに対する参考になるような点、知っておくべき点などを抜粋する。

はじめに

インプラント治療において、出血、感染、知覚異常などの局所的合併症や患者の体調が悪化するなどの全身的合併症を生じるリスクが最も高いのは、手術から手術による侵襲が回復するまでの周術期である、特に手術時と手術直後で合併症の発生率が高い。

このような合併症の予防には、手術前の各種の血液検査やCTを含めた画像検査、手術中において、心電図や血圧計、酸素分圧計などを装着すること、手術後には抗菌剤や消炎鎮痛薬を適切に行うことが必要である。

合併症が発生したときに迅速で適切な対応ができる体制ががあることも重要。内科医や外科医と連携していると対応が取りやすい。

インプラント治療が抜歯の治療と異なるのは、インプラントのチタンと骨が一体化(オッセオインテグレーション)し、それが継続することである。インプラント周囲炎などを予防するメインテナンスが必要となる。

医療安全管理の義務化

医療法では、医療安全、院内感染対策、医薬品安全管理、医療機器安全管理が義務づけられている。

院内感染対策に関するポスターが貼られているか、医師以外の受付スタッフなどのコメディカルが通院状態や今服用している薬剤を聞いてくるかなどで確認できる。

高齢者の管理

インプラント治療の長期成績が向上したことから、インプラント手術が成功であっても、メインテナンスが悪いと合併症の発生を招く。

抗腫瘍薬や抗リウマチ剤、脳梗塞の予防等で抗血小板剤や抗凝固薬、骨修飾薬(ビスフォスフォネート)などがメインテナンス期に新たに投与されるときには、注意が必要である。

感染、顎骨壊死を招く可能性が高くなることから、新規に薬剤を投与された場合には、薬剤師等に問い合わせることが必要であり、できればインプラント治療を行った医院に知らせること。

インプラント治療と顎骨壊死

ビスフォスフォネート服用患者がインプラント治療を受けると、顎骨壊死が起こるリスクが高くなるといわれていた時代もある。

現在のデータでは、インプラント治療というよりも、抜歯時の骨槽骨に炎症所見があることがリスク因子であるとされている。

(画像はイメージです)

▼外部リンク

日本口腔インプラント学会誌:インプラント治療における医療安全管理:高齢者に対する薬剤の投与を中心に
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jsoi/-char/ja/