入れ歯になると過敏性腸症候群になりやすくなる?

歯は消化器官

入れ歯になったり、歯が抜けたりすると消化管に影響が出ることが知られている。

これは歯が食物を咀嚼することにより、消化機能を果たしているからである。

歯の欠損や入れ歯が原因となって、唾液が少なくなる。これは唾液も消化液であることから、消化管障害の引き金になる。

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)は器質性疾患がないのに、消化管に自覚症状が起こる病気である。

原因はストレス等が想定されている。

歯を失うと過敏性腸症候群のリスクが上昇する?

歯の状況と過敏性腸症候群の発症を4669人のイラン人で検討した研究が2015年1月27日にJournal of Oral Rehabilitationのオンライン版で公開された。

今回の研究では歯の状態を、完全:欠損がない、A:1~2本の欠損、B:3から5本の欠損、C:上あるいは下の歯が全部欠損している以上の欠損の4つのカテゴリーに分けて検討を行った。

歯が完全に揃っている群に比べて、Aでは1.35倍、Bでは1.33倍オッズ比が増大していた。しかし、Cではオッズ比の変化は見られなかった。

統計的な調整を行ってもAやBではオッズ比が増大したが、Cでは差がなかった。

少数の歯の欠損(入れ歯による治療を含む)が過敏性腸症候群の発症率を増やす可能性が示唆された。今回の試験は一時期のデータから得られたものであるので、疫学的な研究が必要である。

(画像はイメージです)

▼外部リンク

文献:Is tooth loss associated with irritable bowel syndrome?
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/joor.12277/abstract