2015年1月22日、近畿大学は大阪歯科大学、モリタ製作所と共同でエナメル質の修復と人工のエナメル質形成にレーザーを用いてハイドロキシアパタイトの膜を形成することを応用することに成功したと発表した。
研究成果はメディカル・ジャパン2015(大阪:2月4日~6日)にて発表される。
虫歯や摩耗などで歯のエナメル質が欠損した場合には、レジンなどの高分子材料が歯の修理に用いられてきた。
レジンは生体成分とは異なることから、アレルギー反応のリスクがあり、また性質の違いから歯との接着面に亀裂や剥離が生じる問題が指摘されている。
歯はハイドロキシアパタイトからできていることから、ハイドロキシアパタイトを用いることが理想である。しかし、歯との接着に問題があることから、実現されていない。
近畿大学ではこれまでに「歯のばんそうこう」として極薄のハイドロキシアパタイトシートを開発したが、大きくえぐられた欠損部分の修復には適応とならなかった。
歯のう蝕部分を削るのに使用されているEr:YAGレーザーの分解、剥離作用を着目して、研究を開始。
α-リン酸三カルシウムの材料(アパタイト前駆体ターゲット)にレーザーを照射し、歯のエナメル質に膜を形成させると、約3時間でほぼハイドロキシアパタイト膜が生成され、エナメル質の修復に活用できることを確認。
さらに、象牙質上に膜を形成させると、ハイドロキシアパタイト膜が人工エナメル質となって象牙細管を完全に封鎖することから知覚過敏の治療にも応用できることが判明した。
今回の技術は歯質の保護、エナメル質のマイクロクラック(細かなひび割れ・亀裂)の修復や審美歯科にも応用できる可能性がある。
今後は、歯科医師会及び歯科機器メーカーの協力を得て臨床研究及び治験を実施できる体制を整えて実用化を目指すとのこと。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
近畿大学 プレスリリース
http://www.kindai.ac.jp/topics/2015/01/post-720.html