嚥下に問題のある場合の虫歯の治療には口腔内吸引を2系統にして注水液誤嚥リスクを軽減

寝たきり老人の口腔内ケアの重要性

寝たきりになると、長期にわたり口腔内のケアが行われないことが多くなる。

補綴物や歯の鋭縁(歯が折れたり、すり減ったりして歯の一部が鋭くなること)等による口腔内の疼痛、出血、潰瘍が生じる可能性が高くなる。

そのような場合には早急に補綴物等の除去、削合(歯を削ってかみ合わせを良くする)等により原因の除去を行う必要がある。全身状態が悪く嚥下(ものを飲み込むこと)に問題がある場合には、注水下での切削により注水液誤嚥(注水液が誤って肺に入る)のリスクがある。

東京都保健医療公社多摩北部医療センターの研究

東京都保健医療公社多摩北部医療センターの研究グループは口腔内の吸引を2系統にしたところ誤嚥のリスクが少なくなることを見いだし、その研究成果は「老年歯科医学」に掲載、J-STAGEに2015年1月21日に公開された。

研究は正常嚥下が可能な健常成人26歳~57 歳の男女10名を対象に行った。被験者を水平位とし、下顎左側第一大臼歯咬合面上で注水下にタービンを1分間空回転させた。

同一被験者で4種類の方法の手技で口腔内の吸引を行い、口腔内に貯留した液を計量、比較検討した。

その結果、注水切削時の吸引を 2 系統使用する方法は,注水液の咽頭への流入を防止する効果が高いことが判明。

歯を削るユニットには吸引器が一つ付いているが、嚥下に問題がある患者を治療する場合にはユニット以外の吸引器を用意することにより、より安全な歯科治療が可能としている。

(画像はイメージです)

▼外部リンク

老年歯科医学 Vol. 29 (2014) No. 3 p. 282-287
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsg/29/3/29_282/