歯科パノラマX線写真を用いた骨粗鬆症の早期発見
2014年11月18日、朝日大学、岐阜大学およびメディア株式会社の共同研究のMedical Imaging Technologyの論文がJ-STAGEで公開。
文献表題は「歯科パノラマX線写真を用いた骨粗鬆症早期発見のための下顎皮質骨自動厚み計測法の開発 ―線状構造の抽出―」。
研究概要
現在、歯科パノラマX線写真における下顎皮質骨の変化は、骨粗鬆症をスクリーニングする指標として使用されている。
今回の研究は線状構造抽出法を用いて、下顎皮質骨の密な部分のみを自動計測して骨粗鬆症の可能性を自動的に判別する方法を開発。
朝日大学において行われた、骨塩定量検査に基づいた異常症例26症例を含む100症例における診断能を検討した結果、感度は80.8%、特異度は94.6%であった。
さらに7つの歯科クリニックにおいて同様の検討(異常の疑いをもつ21症例を含む458例)では感度90.5%、特異度94.6%であった。
以上のことから、歯科診療を通した骨粗鬆症の早期発見に有用であり、X線写真の撮影環境に影響されない、汎用性があることを示唆。
歯科と骨粗鬆症
骨粗鬆症の治療薬であるビスホスホネート製剤は重大な副作用として顎骨壊死が報告されている。
歯科治療は顎骨に影響を与えることから、歯科においても骨粗鬆症の問題は避け得ない。
歯科でも顎骨のX写真を撮ることから、骨粗鬆症のスクリーニングや顎骨壊死回避に用いることが色々検討されており、今回の文献報告もその一部である。
(画像はWikimediaより。Frank Gaillard)
▼外部リンク
公開文献 抄録
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mit/32/5/32_342/_article/